今年4冊目となる読書は、伊坂幸太郎さんの『終末のフール』です。
実は私、出産や育児に追われて、ここ十数年ほど読書から遠ざかってしまっていました。
でも昨年、ふと「残りの人生、できるだけ読書を楽しみたい!」と思ったのをキッカケに読書を再開。
そんな時期に伊坂幸太郎さんの小説を初めて読みました。
初めて呼んだのは『魔王』だったのですが、ぶっちゃけ「好きか嫌いかわからん」と思ったのを覚えています。
というのは、途中、続きが気になって夢中で読み進めたものの、「えっっ!?こんな終わり方?」と拍子抜けした感覚で終わってしまったんです。
でも、なぜか「伊坂さんの話はもういいかな」とはならず、「他の作品にトライしてみよう」と読んだのが『モダンタイムス』と『死神の浮力』。
結果、『死神の浮力』で完全に伊坂幸太郎さんのファンになりました。
伊坂さんの作品の中にはまだまだ気になる小説がいっぱいありますが、今回読んだのは裏表紙のあらすじに興味を惹かれた『終末のフール』。
では早速、レビューします!
『終末のフール』ってどんな本?
『終末のフール』は8つのストーリーからなるオムニバスの短編集です。
物語の舞台となっているのは、8年後に小惑星の衝突により地球は滅亡する…という予告から5年が経った仙台北部にある「ヒルズタウン」。
ヒルズタウンの住民を中心に、「余命3年という人生をどう生きるか?」が描かれています。
いきなりニュースで「8年後に地球が滅亡する」なんて言われたら…と想像してみても、まったく想像がつかないものですよね。
この小説を読むと、当たり前に過ごしている毎日の中で「生きる」ことの意味を考えさせられます。
とはいえ、重苦しく暗い気分になる物語ではありません。
家族の在り方や残り少ない未来への希望、人と人のつながりなど、世界の終末を目前にしながらも築かれる幸せがある事を強く感じさせられます。
また内容が素晴らしかったのはもちろんの事、本文を読み始める前、目次を見ただけで心がときめいちゃいました。その理由は、各ストーリーのタイトルの統一感。

タイトル見ただけで「やられた〜!!」って感じw
そんな心ときめくタイトルたちがコチラ。
- 終末のフール
- 太陽のシール
- 籠城のビール
- 冬眠のガール
- 鋼鉄のウール
- 天体のヨール
- 演劇のオール
- 深海のポール
いかがですか?タイトル見ただけでテンションあがりますよね。思わず「うまい!」と短く叫んでしまう感動。
ちなみに「天体のヨール」だけは「ヨールって何の事やろう?」と不思議に感じました。

みずたまが無知なだけ??
「ヨール」が何のことかさっぱりわからないまま読み進めたのですが、それは私だけではなく、きっとすべての読者さんが同じ気持ちになっていたのでしょう。
そう思うと「やられた感」が半端ないですよね。

そういうとこ!!
そういうとこが好きやねん♡
未読の方は「ヨール」とは何かも、乞うご期待!!
『終末のフール』のあらすじは?
『終末のフール』というタイトルを見た時点では、何となく堅苦しいイメージがありませんか?
私自身は「終末とか、そういうのはあんまり好きじゃないかなー」なんて思ったのですが、裏表紙のあらすじにとても興味をそそられました。そのあらすじをご紹介します。
八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。
『終末のフール』裏表紙より引用
このあらすじの中にある「家族の再生」は1話目の「終末のフール」。「新しい生命への希望」は2話目の「太陽のシール」。「過去の恩讐」は3話目の「籠城のビール」。
どの話も素晴らしかったのですが、個人的には「太陽のシール」「冬眠のガール」が特に好きです。
めちゃくちゃ驚いたのが「天体のヨール」と「演劇のオール」。

この2つにはマジでびっくり!
「予想だにしない」という言葉がピッタリやで。
感想まとめ
毎日の生活に追われて、「生きる」という事の意味や素晴らしさを実感する事って忘れがちですよね。
でも、この小説を読むと「残りの人生を大切にしよう」と思えます。私はすでに人生折り返し地点は過ぎた歳だと言えますが、若い方も、これから大人になりゆく子供たちも、同じように思えるはず。
当たり前に過ごしている毎日の大切さを実感して、丁寧に生きていきたい。そう思います。
ここからはネタバレもあるので、未読の方はスルーして下さい!
「生きる」という事の意味…なんていうと、かなり重厚なテーマとなりますが、何よりも一番印象に残ったのが「天体のヨール」と「演劇のオール」。
これは読んだ方なら共感していただけると思いますが、「ヨール」には思わず笑っちゃいますよね!?

思わず「それ!?」ってなったわ(笑)
「ヨール」の興奮が冷めやらぬうちに、「演劇のオール」のまさかのラスト。
夜、子供たちが眠っている横で読んでいたのですが、思わず吹き出してしまいました。

「えっ、嘘?マジで?」ってみずたまも思わずのけぞったわw
とはいえ、心に突き刺さったのは面白ネタだけじゃありません。
世界があと3年で終わるのに、とてもほっこりと幸せな気持ちになれたのが「太陽のシール」と「冬眠のガール」。
「太陽のシール」ではあと3年しかない未来が、とても明るく幸せな未来に感じられます。
「冬眠のガール」はなんとも言えない可愛らしいお話ですよね。
あと3年で地球が滅亡するのに、新たにたてた目標が「恋人を作る」だなんて、なんだかホッとしちゃいます。
そして、『終末のフール』を語る上で外せないのが「鋼鉄のウール」の苗場さんの一言。
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
この言葉にはハッとさせられました。
小説を読んでいると、いろんな名言に出会うことができますが、この言葉もこの先、忘れたくない名言の一つとなりました。
「深海のポール」にも名言、ありますね!
「死に物狂いで生きるのは、権利じゃなくて、義務だ」
場合によっては辛くも感じる言葉にも思えますが、そうなのかも知れないな…と。
いつか子供たちがもう少し大きくなったら、この本を読んで、この名言たちを胸に刻んで、残された人生の一日一日を、強く、必死に、生きていってほしいなぁ…なんて事を考えたりしました。

非常に残念ながら、うちの子達、読書好きではないねんけれども…
さて、この読書記録を書いている今、『終末のフール』の次に読み始めた本をすでに読み終えています。
近々、次の読書記録&次の読書に取り掛かります!
次はハードカバーの小説を読みます。この本のために新調した革のブックカバーで♡
お気に入りのブックカバーでの読書はさらにテンションアップです!ブックカバーを使っていない方はぜひ、お気に入りを探してみてはいかがですか?

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