読書記録⑬横山秀夫『半落ち』

スポンサーリンク

今年13冊目の読書は横山秀夫さんの『半落ち』です。

横山秀夫さんの作品は『クライマーズ・ハイ』に引き続き、この『半落ち』が2冊目。

『クライマーズ・ハイ』がとても面白かったので期待のハードルはかなり高くなっていたと思うのですが、それでも余裕で飛び越える感動をもたらしてくれる作品でした。

表紙の帯に「妻を殺しました」という一文が書かれており、そのインパクトの強さに惹かれて購入した『半落ち』。

でも、そのインパクトの強さよりもさらに強烈な感動が待ち受けています。そんな『半落ち』のレビューです。

 

スポンサーリンク

 

『半落ち』のあらすじは?

とにかくこの『半落ち』は表紙の帯に書かれた一文が印象的。裏表紙のあらすじをご紹介する前に、まずは帯に記載されている内容をご覧下さい。

妻を殺しました

自首したのは、現職の警察官だった。しかし、殺害から自首までの2日間につき、男は黙秘した。

一人息子の命日に、アルツハイマーを患う妻を殺害し、自首してきた警部・梶聡一郎───。

「犯行後、どうしていたんです?」

(『半落ち』帯より引用)

 

妻を殺しました…….って!!

しかも警察官がなんで!?

一人息子の命日!?

奥さん、アルツハイマー!?

この情報だけでも、もうかなりの衝撃を与えられるのですが、どうやら「犯行後」の行動が物語のカギなようです。

もう少し詳しい内容が欲しくなりますよね!?裏表紙のあらすじをご紹介します。

「妻を殺しました。」現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは────。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。

(『半落ち』裏表紙より引用)

あらすじを読む限り、「どうして妻を殺したのか?」というストーリーではない事がわかります。

動機も経過も明らかになるけど、犯行後の動向がわからない。そして、その犯行後の行動を語らない理由に驚かされる…。

あらすじからわかる情報ってこんな感じですよね。また、帯に書かれている「息子の命日」っていうのも気になります。これが梶聡一郎が語ろうとしない二日間と、何かしら関係していそう。

おそらく、主人公がこの梶聡一郎が秘める二日間の謎を紐解いてゆくストーリーなんだろう…と読み始めたのですが、目次を見た時点でまず「そうきたか!」と驚かされました。それではもう少し詳しくご紹介します。

 

 

『半落ち』ってどんな本?

読書をする時はいつも、本編を読む前に帯やあらすじをチェックして「こんな話なのかな?」なんて想像を膨らませてから読むようにしています。

そして、いざ本を開いて楽しみなのが「目次」。小説によっては目次のあるものとないものがありますが、目次だけでも楽しめる作品が沢山ありますよね。

みずたま
みずたま

伊坂幸太郎さんの『終末のフール』や『陽気なギャング』シリーズは、サブタイトルだけでも面白い!

読書記録④伊坂幸太郎『終末のフール』
今年4冊目の読書は、伊坂幸太郎さんの『終末のフール』です。 他の小説を買うつもりで古本屋に行ったのに、裏表紙の粗筋を読んで衝動買い。 世界の終末を知りながらも「生きる」人々の姿が、6つの短編で描かれています。
読書記録⑩伊坂幸太郎『陽気なギャングの日常と襲撃』
記念すべき今年10冊目の読書は、伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングの日常と襲撃』です。 シリーズ1作目の『陽気なギャングが地球を回す』を読んでから数週間。 3作しかないから大事に読まないと…と温存しときたかったのですが、我慢できずに読んでしまいました!

『半落ち』の目次に驚かされたのは、サブタイトルのインパクトだとか、言葉選びの秀逸さだとかではありません。「1人じゃないのか!?」って事。

実際に目次をご紹介します!

・志木和正の章
・佐瀬銛男の章
・中尾洋平の章
・植村学の章
・藤林圭吾の章
・古賀誠司の章
そう、いろんな人の視点で展開されていく物語なんです!
この小説は妻を殺害した警察官・梶聡一郎の視点で語られるものではなく、一人の主人公が展開するストーリーでもありません。
それぞれ違う立場、違う環境の人達から見た「梶聡一郎」と、彼の起こした事件への思い入れがあり、彼らの考え方・生き様にも感動させられます。
人それぞれに「正義」があり、それは環境や立場によっても変わるものでもある。いろんな葛藤や愛情の形を、それぞれの章で感じさせられます。
中でも「藤林圭吾の章」は、「梶聡一郎」に対するスタンスが他の章の主人公と少し違ったのが印象的でした。

 

『半落ち』は映画化されているんですね。梶聡一郎の役は寺尾聰さんだとか。

みずたま
みずたま

映画も見てみたい~!!

感想まとめ

この小説、ただただ「感動」です。

よく漫画のワンシーンなんかで、いきなり涙があふれる時に「ブワッ」ていう表現が用いられますが、本当に一瞬で「ブワッ」と涙が溢れ出た作品です。

ここからはネタバレを含みますので、未読の方はスルーして下さい。

この小説は、いろいろな立場・いろいろな環境に生きる男性からの視点で展開されます。そして、どの人物も妻を殺害した「梶聡一郎」と深く関わっていた人ではありません。

それでも私欲ではなく、「梶聡一郎を死なせたくない」という思いが伝わります。

「佐瀬銛男の章」で、梶が東京に行ったのは「子供に会いに行ったのではないか」という佐瀬の言葉が。

もしかして梶には隠し子がいるのか?と少しネガティブなミスリードを誘うシーンがありますが、最終的には「こういう事だったのか!」と納得。

本当に梶は清廉潔白なのか?殺害した妻の遺体をそのままに、あまり良いイメージの湧かない「歌舞伎町」という町に、何の目的で梶は出かけていたのか?

その真相は思いもよらず、それでいて「梶聡一郎」という人となりをよくよく知らされるような内容でした。

どんな事情があろうとも、妻を殺したことを一番許せない、許さないのはきっと梶聡一郎自身であるはず。

でも、生きて欲しい。50年と言わず、その先も。

そう願う登場人物の熱い想いにも胸を打たれます。

そして最後の最後で登場する池上くん。彼の一言で涙腺は崩壊!!

みずたま
みずたま

あの一言で涙が「ブワッ!!」って溢れ出たわ。

「まさか、そうきたか…」という驚きと、とても言葉では言い表せない大きな感動と。最後の最後は何度読み返しても涙なしには読めません。

これほどまでに泣かされるとは予想外でした。こんなに泣いたのは久しぶりかも。

みずたま
みずたま

とりあえず読後に骨髄バンク、ググッたわ…。

ちなみに、現在は骨髄バンクに登録できる年齢制限が55歳になっているようです。

横山秀夫さん、大きな感動をありがとう。

正しく、人に優しく、生きていこう。いつもどんな時も自分一人で生きていることなどなく、人は人と支え合い、繋がりながら生きているんだという事を忘れずに、日々を生きていこう。そう思えたお話でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました