読書記録⑭伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』

スポンサーリンク

今年14冊目の読書は伊坂幸太郎さんの『アイネクライネナハトムジーク』です。

伊坂作品にしては珍しいなと思うのが、強盗も殺し屋も出てこない、どこにでもある日常風景での恋バナ。

「職場と家の往復だけじゃ、出会いなんてないよね~」と、今日もどこかで誰かが言ってそうなものだけど、そんなごくごく普通の世界観での物語です。

とはいえ、そんな「ごくごく普通」な中にも伊坂さんらしさがそこここに散りばめられており、読後の満足感はさすが!

みずたま
みずたま

「やっぱり好きやわ~、伊坂作品!」ってなるよね♡

『アイネクライネナハトムジーク』は連作短篇集となっています。

個人的には短編より長編の小説が好きなのですが、『死神の精度』や『終末のフール』など、伊坂さんの短編集は本当に面白い!

なので「面白くないワケがない」という高めのハードルが設定されていましたが、結果、大満足の物語でした。

そんな『アイネクライネナハトムジーク』をレビューします!

 

スポンサーリンク

 

『アイネクライネナハトムジーク』のあらすじは?

この小説はハードカバー本を購入したので、裏表紙にあらすじの記載はありません。でも帯がついていたので、そちらの内容をご紹介します。

 

ここにヒーローはいない。さぁ、君の出番だ。

明日が待ち遠しくなること間違いなし!ごく普通の人たちが巻き起こす、小さな奇跡の物語。

奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっ子への復讐を企てるOL…….。

情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが作り出す、数々のサプライズ!!

伊坂作品ならではの、伏線と驚きに満ちたエンタテインメント小説!

(『アイネクライネナハトムジーク』帯より引用)

この内容を見る限り、登場人物については少し知れるものの、どんなお話なのかはよくわかりません。

わからないけど、魅力的な作品である事は間違いなさそう!!

でもやっぱり内容も知りたかっので、購入前にネットで文庫本の裏表紙画像を参考にさせて頂きました。その内容はコチラ。

妻に出ていかれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…….。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短篇集。

(『アイネクライネナハトムジーク』裏表紙より引用)

こちらも参考にした結果、情報量は増えたものの、やはり内容はわからずです。でも、とにかく面白そう!という部分は補強されました。

その後も読者さんのレビューなどを参考にしたところ、恋愛小説だと発覚。

伊坂さんの恋愛小説ってどんな感じなんだろう?

きっと「らしさ」が感じられる恋愛小説なんだろう…というくらいの前知識で読書開始です。

早速、本を開いてまずは目次から。『アイネクライネナハトムジーク』は連作短編という事ですが、目次には以下の6つのタイトルが並んでいます。

アイネクライネ
ライトヘビー
ドクメンタ
ルックスライク
メイクアップ
ナハトムジーク
それぞれどのようなストーリーなのか、もう少し具体的にご紹介していきます!
みずたま
みずたま

映画のほうも見てみたい!!

『アイネクライネナハトムジーク』ってどんな本?

『アイネクライネナハトムジーク』は6つの短編集となっています。

それぞれの登場人物がところどころで繋がっているので、短編だけど長編みたいな読後感。

帯や裏表紙の記述通り、本当にどの登場人物も愛しく思えるのが伊坂作品の魅力の1つですよね。

どのお話もごくごく普通の日常を生きている、ごくごく普通の人々。

とはいえ中には世界チャンピオンになっちゃう人が出て来るのですが、その非日常な世界観はストーリーの面白みとして違和感なく現実にありそうな感じで入り込んできます。

みずたま
みずたま

○○ちゃんの知り合いの知り合い、世界チャンピオンやねんてー!ってありそうやん?…ないか?(笑)

それでは、それぞれの短編がどのようなお話なのかを簡潔にご紹介します!

 

アイネクライネ

これは簡潔にいうと、「出会いなんてないよ」という人に「出会いがあった」っていうお話。

「出会いがない」って本当にどこにでもある話題ですよね。

そんなどこにでもあるテーマで、ただただ出会いがありましたっていう話を、こんなにも登場人物を魅力的に面白みを増し増しに描ける伊坂さんってすごい!!

「近い将来、我が子たちにはどんな出会いが待ってるのかな?」なんて考えたりもしたお話です。

ちなみに、この短いストーリーに出てくる人たちが後々にも関わってくるのですが、主人公だけでなく彼らも本当に魅力的。

ライトヘビー

美容師の女の子がお客さんの弟と電話で話すようになって、恋に発展。

簡潔に言うとそんなお話で、それだけ聞くとこれまたよくあるお話ですよね。

だけど、その電話の相手はなんだかちょっと普通じゃなくない?って思ってたら、全然普通の人ではないことにビックリ!

さらにこのお話に登場する「斉藤さん」は、かの有名な「斉藤さん」である事にも後からビックリしました。

 

ドクメンタ

これは端的に言うと、「別居とか離婚の原因って、1つ1つはささいな事なんだよね」的な内容。

何か大きな出来事があった訳じゃない。相手の事がどうしても許せないとかでもない。悪気があってのことではない。別に問題なくない?という風にも思える。

そんなささいな事の積み重ねが、恋人や夫婦の関係に大きな溝ができたりもする。

これって本当に「あるある」ですよね。そんな「あるある」を運転免許センターで共感するという「非あるある」な出会いのお話。

 

ルックスライク

こちらももちろん短編なのですが、「若い男女」と「高校生」という構成に別れているのが特徴的。

「この組み合わせがどこでどういう風に交わるんだろう?」という疑問を頭の片隅に起きながら読み進める事になるのですが、その結末は非日常的でありながらも現実にも起こりそうな驚きです。

読了後にわかるのですが、ごくごくありふれた高校生たちの学校生活も、驚きの展開にもっていくとこがまた伊坂さんってすごいです。

 

メイクアップ

「黒歴史」っていうほどではなくても、「あんまり良い思い出じゃないな…」っていう出来事も「あるある」ですよね。

「メイクアップ」は、過去に自分をいじめていた子と仕事絡みで再会しちゃうというお話。

本人は復讐心なんて持っていないにのに、その周りにいる人間が「そんな奴、バチが当たればいいのに」って思ったりするのも共感できる話ですよね。

元いじめっ子は今でもその要素をもっているのか?大人になって改心したのか?

その元いじめっ子にバチはあたるのか?

ちょっと「バチが当たって欲しい」と思ってしまうのも、「あるある」です…よね?

 

ナハトムジーク

最後のお話は「現在」と「過去」が交錯します。視点も1人ではなく、これまでの物語に出てきた複数の登場人物の視点で展開します。

元世界チャンピオンが王座奪還を目指していた試合を振り返りながら、元世界チャンピオン本人と彼に関わる人たちの人生が描かれているお話。

人って実は思っているよりもたくさんの人と影響しあっていて、「出会い」ってすごく大切で素敵。「生きてる」って素晴らしい。

そう思えるお話でした。

 

感想まとめ

感想をひと言でいうなら、心が温まる小説でした!

登場人物はみんなそれぞれに魅力的だし、間接的に繋がっている関係性に親近感が勝手に増してしまうのもあるしで、読み終わる頃には親戚の誰かのお話だったかのような気分(笑)

いつも本を買う時にはスマホ片手にあらすじや誰かのレビューを参考にするのですが(ネタバレのない範囲で)、『アイネクライネナハトムジーク』は恋愛小説だという事をレビューで見ていたんです。

恋だの愛だのっていう小説にはあまり興味がないので、他の小説にしようかとも思ったのですが、買ってよかった!読んで良かった!そう思えるお話でした。

ドキドキハラハラするような大きな起承転結がある訳ではないけれど、ごくごく普通の生活の中によくある光景もあれば、有り得ない光景もあり、ひっくるめて「生きてるっていいな」と思える温かみを感じました。

のんびり、ゆったりと、気楽に読み進められて、読後には温かく優しい気持ちになる。そんな一冊。

ここからはネタバレを含みますので、未読の方はスルーして下さい。

個人的に気になる点がいくつか残ってるんですけど、きっと読んだ方々もそうですよね!

佐藤くんとシャンプーの彼女のその後はどうなったんだろう?特に理由はないけど、うまくいって欲しいな~とすごく思う。

『アイネクライネ』を簡潔に要約すると、「出会いがない」佐藤くんに「出会いがあった」っていうだけなのに、うまくいくといいなーと思わせてしまうのがもう伊坂マジック!!

…と、しょっぱなから盛り上がってしまいました。

『ライトヘビー』は一番好きです。…いや、二番かな?同率一位ってところで。

「斉藤さん」がどういう役まわりでかは謎だけど登場してきた時には、「なんとなく斉藤和義さんっぽい」と思っていたのですが、まさしくそうだったんですね。

なんの前触れもなくそう思えるとは、それもすごくない!?…と、後書きを読んでこれまた大興奮。

ごくごく普通な世界観に世界チャンピオンになる人と出会うってのは非現実的なんだけど、普通に受け入れられるとこも伊坂マジック的な?

『ドクメンタ』ではまた素敵なキャラが出てきますよね。課長には是非とも飲みに連れて行ってもらいたい!!

みずたま
みずたま

みずたまは呑めませんが…

ミッキーが手を振り続ける事の大変さなど、考えたこともなかったけど、その辺の話を延々とできそうな課長に魅力を感じるのもやっぱり伊坂マジック?

藤間さんにも「うまくいってほしい!!」と願いを込めずにはいられないお話ですね。

『ルックスライク』は一番好き!『ライトヘビー』と同率くらいで好きです。

高校生と若い男女がどう関係してくるんだろうな?と思いながら読み進めてたら、「そうきたか」という結末に驚かされます。これぞ伊坂マジック。

美緒ちゃんの最後の一言「I like your father」に完全に「me, too」です。

『メイクアップ』はこれ、結末を後ほど知れると思ってたのですが!!

彼女は結局、恋愛には敗れたけど仕事がうまくいったのか。仕事はダメだったけど彼とうまくいったのか。

気になったまま最終章へ突入しちゃうのも伊坂マジック…なのか?

それはそうと結衣ちゃんは優しい子だな。ちょっとくらいは復讐心を持ってもいいんだよ…という気持ちも湧いたけど、その優しさにホッとさせてもらえます。

そしてついに最後となる『ナハトムジーク』。

ここで佐藤くんのその後がわかるものだと思い込んでしまっていたのは何故なのか、今となってもさっぱりわかりません(笑)

みずたま
みずたま

あ、そこはわからんまままなんや…

もしかしたら『メイクアップ』のその後もわかるのかな?という気もしてたのですが…。個々の想像に委ねられたようなので、個人的に彼女は恋に敗れ、仕事はうまくいった事にしておきます。

それにしても、唯一悲しかったのは藤間さん!

何もかも誰も彼も上手くいくなんて、それはそれで嘘くさいし、これはこれでお2人にとっては良いカタチなのかなぁとも思う。けど、やっぱり残念だったかな。

『ナハトムジーク』で始めて出てくる姉弟にも感動させられますね。彼らとの出会いがなければ、ウィンストン小野のあの試合も全然違う結果になってたんだろうな。

そして、最後の最後でまたビックリさせられますよね。

まさか、そこで急に出てくる?司会者の回想!しかもそれが、あの時の合唱コンクール!?

もうとにかく、伊坂マジックにやられっぱなしとなる一冊でした。

みずたま
みずたま

結局、やっぱり好きやわ~、伊坂作品!!っていう事に尽きるわ♡

コメント

タイトルとURLをコピーしました