読書記録⑪横山秀夫『クライマーズ・ハイ』

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今年11冊目の読書は、横山秀夫さんの『クライマーズ・ハイ』です。

もう10年くらい前かと思うのですが、この小説、図書館で借りたことがあったんです。でもその時は手付かずのまま返却日を迎えてしまって…。

先日、古本屋に行った時に「そういえばこれ、読もうと思ってたのに読めずじまいの本やん!!」と衝動買い。

横山秀夫さんの小説はまだ何も読んだことがなかったのですが、「クライマーズ・ハイ」の隣にあった「半落ち」も気になり買って帰ってきました。

裏表紙のあらすじを読む限り、どちらもとても面白そうなのですが、「クライマーズ・ハイ」から読むことに。

それでは早速、初の横山秀夫さん作品「クライマーズ・ハイ」のレビューをしていきます!

 

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『クライマーズ・ハイ』のあらすじは?

まずは裏表紙に記載されているあらすじをご紹介します。

1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは───。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。

(『クライマーズ・ハイ』背表紙より引用

 

そう、この小説は実際に起こった航空機墜落事故がテーマになっています。

みずたま
みずたま

当時みずたまは小学生やったけど、事故のこと覚えてるわ…。

もうかれこれ35年以上も前になるんですね…。

「飛行機が落ちた」というのはかなり衝撃的なニュースでした。とはいえ、当時まだ幼かった私には非現実的でその悲惨さに「ピンとこない」状態だったように思います。

実際の現場はどのような惨状だったのか?それに関わっている方々の気持ちは?そんな事まで深く考えることもなく、ただただ「ビックリした」というくらいの記憶です。

この小説を読んで、「飛行機が墜落した」というのはどういう事なのか、知ることができた気がします。

「クライマーズ・ハイ」という題名と「航空機墜落事故」と、何が関係あるんだろう?そう思って読み進めていましたが、登山と事故は関係ありません。

登山に関してはまるで知識がないので、登山シーンに関してはぶっちゃけ、あまりイメージが湧かないまま。映画化されているので、映像で見ると登山の魅力も感じられるのかもしれませんね。

登山を通じての人との繋がりが、主人公にとって大きく関わってくるのですが、この小説では「生きること」「人との縁」という事を強く考えさせられました。

とても臨場感溢れるストーリーなのですが、それもそのはず著者である横山秀夫さんは事故が起こった当時、地元群馬で新聞記者をしていたそうです。

だからこそ生まれた「クライマーズ・ハイ」なんですね。

古本屋で購入したのですが、とても状態が良く、帯もちゃんとついていました。帯には解説文の抜粋が記載されているので、そちらもご紹介します。

著者・横山秀夫がこの当時、地元群馬の上毛新聞の記者であったことはよく知られている。事故の模様を、おそらくもっとも深く知り、受け止めたジャーナリストであったろう。事故から十七年後、主人公「北関東新聞」 の「日航全権デスク」悠木に託し、渾身込めて作品化した。それだけでもう秀作であることは保証されたようなものであるが、それを超えて、一人の作家がその生涯において残しうる最良の作品、いわば“この一冊”であろうと思われるほどの出来映えである。

(『クライマーズ・ハイ』帯より引用)

本当にその通りだと思いました。テレビで見る「現場」では知り得ない「現実」を、小説を通して知ることができる。そんな物語です。

それでは、もう少し詳しい内容をご紹介していきます。

 

 

『クライマーズ・ハイ』ってどんな本?

主人公・悠木和雅は北関東新聞、通称「北関」の新聞記者。同期はすでに自分よりも出世をしている中、「独り遊軍」として部下を持たない最古参の記者。

みずたま
みずたま

この時点でなんかワケありっぽいな。

 

5年前のこと。悠木の下に配属された一年生記者が、悠木の叱責後に事故死したのです。

また、悠木は息子の淳との関係性も良好ではありません。

自分を絶対的に愛してくれる人しか愛せない。そこに少しでも不信感を抱くと憎悪の念が湧く。

傷つきたくないから、人を寄せ付けない。

そんな悠木の内面を作ったのには、彼の両親が深く関わっています。悠木には抱えているモノがあり、人を寄せ付けない空気がある。

そのせいか、最初はなかなか主人公である悠木を好きになれずにいました。

もちろん誰しもそのような部分を持ち合わせているものではありますが、その人間臭さがあまりにもリアルに描かれているからかも知れません。

兎にも角にも、そんな主人公・悠木がジャンボ機墜落事故の全権デスクを命じられることに。

その時、まだジャンボ機は長野・群馬県境に墜落したらしいとしかわかっていません。現場は長野なのか群馬なのか、飛行機はどこに落ちたのか?

小説を読んでいるだけなのに、あたかもその場に自分がいるかのような緊張感。「臨場感溢れる」という言葉が本当にピッタリな感覚になります。

墜落地点は群馬。それはテレビのニュースで発覚します。ヘリコプターからの現場映像には機体の姿などはなく、「JAL」と書かれた主翼の残骸だけ。山肌がキラキラ光っているだけで飛行機の胴体は見えない───。

そのキラキラ光っているものこそ、飛行機だったのです。飛行機が粉々になっているということは、当然、乗客も…。

実際に起こったジャンボ機墜落事故は記憶に残っていますし、たくさんの命が失われた事も当然理解しています。

でも、粉々になってしまったなんてことは考えたこともなかったので、読んでいてかなりのショックを受けました。

少し考えれば事故現場がどれだけの惨状だったのか、という事に思い至るはずなのに、私は考えたこともなかったのです。

実際に現場を目の当たりにした記者たちのショックを考えると恐ろしく、本当に悲惨な事故であったと改めて思い知りました。

現場の記者と上司との板挟みになったり、新聞が商売道具である新聞社の在り方、不確実なスクープを発信するかどうかの決断など、次から次へと悠木に試練がのしかかります。

とにかくリアル。

いろいろな問題が次々に起こり、いろいろな人の気持ちとぶつかる。

誰もがそうして生きているんだということを、深く感じました。

なんのために山に登るのかを問うた時、亡き友人である安西は「下りるために登る」という言葉を遺します。その意味を追い求め続けた悠木が出した結論に感銘を受けました。

だが、下りずに過ごす人生だって捨てたものではないと思う。生まれてから死ぬまで懸命に走り続ける。転んでも、傷ついても、たとえ敗北を喫しようとも、また立ち上がり走り続ける。人の幸せとは、案外そんな道々出会うものではないだろうか。

 

みずたま
みずたま

そうかも知れんよね~…。

最初は好きになれなかった悠木という人物も、最終的にはとても好きになりました。

重いストーリーではあるものの、最後は清々しくもあり、読後は何とも言えない幸せな気分になりました。

みずたま
みずたま

映画も見てみたくなったわ!

 

 

感想まとめ

初めての横山秀夫さんの作品「クライマーズ・ハイ」は、重い内容ながらもあっという間に読み終えてしまいました。

ここからはネタバレを含みますので、未読の方はスルーして下さい。

正直、登場人物の中にはどうも好きになれないキャラも出てきますが、最初から最後まで好感度がすごく高かったのが燐太郎くん。

安西さんと登れなかった衝立岩に安西の息子・燐太郎くんと登る。それ自体も感慨深かったけど、さらに感動する出来事も。

長い間、息子・淳との関係が良好ではないことに悩んでいた悠木。長い月日を経て、淳との関係にも変化がありました。

衝立岩を登る途中、ロープ1本で宙吊りになった悠木。もう無理だと諦めかけた悠木を助けてくれたのは、淳が悠木のために事前に打ち込んでくれていたハーケン。

正直、登山に関しては何も分からない私にとって、登山シーンはイマイチ想像しにくい部分が多かったのですが、このシーンは本当に感動しました。

また、燐太郎くんが悠木の娘・由香を下さい…というシーンや、その後の燐太郎と悠木のやりとりも微笑ましく清々しい!「生きる」って、時にはすごくすごく大変で辛かったりもするけど、とてつもない幸福も得られるものなんだと感じられるお話でした。

横山秀夫さんの他の作品も、今後読んでみたいなと思っています!

 

 

 

 

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